
人間がコンピュータに制御される時代、というのがもしかしたらすぐそこまで来ているのかもしれません・・・
先月イーロン・マスク氏が2017年に設立したスタートアップ「Neuralink」が、「人が脳から直接コンピューターをコントロールできるようになる技術」についての発表を行ったばかりですよね。
今度は韓国と米国の研究チーム(ワシントン大学医学部と韓国大田科学技術大学院)より、スマートフォンとBluetooth接続可能な小さなインプラントをマウスの脳に埋め込み、神経回路を制御することに成功したと発表されました(①、②)。
マウスに装着されたデバイス(UW Medicineより)
具体的にはこのデバイスを取り付けたマウスの行動を無線通信で制御し、部屋の周りをぐるぐる一定方向に回転させ続けることに成功した、とのこと。
このデバイスのメインコンテンツは光学的ニューロモジュレーションを可能にしたこと。
ニューロモデュレーションとは、何らかのデバイスを用いて神経組織を刺激することによって対象の活動に干渉する方法のこと(③)で、このニューロモデュレーションに用いる刺激は「光」です。
従来の電気的な刺激によるニューロモデュレーションと比べ、精度の高い対象の制御が可能となる、とのこと。
つまり、よりマウスくんを思い通りに動かせるようになったということですね。
また、個人的にデバイスのすごいところはワイヤレス+素材が軟性であること。
従来までのこういった発明は有線接続だったため、対象の動きが阻害されたり、鉄心で脳がダメージを受ける事があったりしたそうです(あーこわ)。
それが今回はワイヤレス+人の毛ほどの細さの軟性素材ということで、脳へのダメージは少ないのです。
また、発光のための薬液もカートリッジ式なので、薬液切れのたびにいちいち脳からデバイスを引き剥がす必要もありません。
ワシントン大学医学部教授であるMichael Bruchasは
「この研究により行動の神経回路の基礎をより詳細に分析することができ、脳内の特定の神経調節因子がどのような方法で行動を調整するのか、ということがわかるのです。このデバイスは、痛み、嗜癖、感情障害の新しい治療法の開発に役立ちます。」
と述べていて、将来的にはパーキンソン病やアルツハイマー病などの治療に活用できるとの見方を示しました。
とはいえ、良い方向にばかり利用されないのがまた発明の定め。
まだデバイス自体はそれなりのサイズのため今すぐどうこう、というようにはならないとは思います。
しかし去年の中国の遺伝子組み換え赤ちゃんの誕生といい、最近の「割と来るとこまで来てる」感に少しドキドキしながらも成り行きを見守っていきたいと思います。